産業用UVCカメラのすすめ 産業用UVCカメラのすすめ

露光時間とゲインのメリットデメリット

産業用UVCカメラは、露光時間とゲインを調整することができます。それぞれ明るさを調整するカメラパラメータですが、メリットとデメリットがあります。

露光時間とは

イメージセンサに何秒間光を当て続けるかの時間です。撮影対象物の移動速度に対して露光時間が長すぎると、ブラーと呼ばれる画像がブレる現象が発生します。

ブラー

またカメラが露光している最中はカメラからフレームを出力することはできないので、露光時間を長くしすぎると、フレームレートが遅くなります。

露光時間とデータ転送時間

例えば、露光時間を100msにしていた場合、10fps以上の速度のフレームレートにはできません。もし露光時間を200msにすればフレームレートは5fps以下まで遅くなります。

ゲインとは

ゲインとは、輝度を増幅し画像を明るくする機能です。ゲインを上げすぎるとノイジーな画像になります。


ゲインを下げた状態

ゲインを上げた状態

まとめると以下のようになります。

メリット デメリット
露光時間 ノイズがのりにくい フレームレートが遅くなる
ゲイン フレームレートが遅くならない ノイズがのる

従って、明るさ調整について、露光時間とゲインを検討する際は、以下の手順になります。

  1. ① 必要なフレームレートを決める
  2. ② 必要なフレームレートから設定可能な露光時間の上限を決める
  3. ③ 撮影対象物を撮影しブラーが出ないか確認する※
  4. ④ それでも画像が暗い場合はゲインを上げる
  5. ⑤ ゲインを上げてなお画像が暗い場合は照明を使う

上記のように照明を利用するのは最後の手段になります。まずは露光時間とゲインで調整してみましょう。
※③は撮影対象物の移動速度と、カメラの解像度、視野サイズからブラーが発生しない露光時間を計算で算出することができます。


補足情報

ゲインには様々な種類があります。カメラ内部では、光子が受光素子に入光し、電荷に変換された後、ADC回路でデジタルデータになりますが、ADC変換前に電荷を増幅することをアナログゲイン、ADC変化後のデジタルデータになった後の演算処理で輝度値を増幅することをデジタルゲインといいます。

(昔)
センサ外部に
ADC回路
カメラ内部でのゲイン ソフト処理ゲイン
センサゲイン ADC回路 FPGA ドライバ ソフトウェア
ADC前 ADC前 ADC後 ADC後
アナログゲイン デジタルゲイン
(現在)
センサ内部に
ADC回路
カメラ内部でのゲイン ソフト処理ゲイン
センサゲイン FPGA ドライバ ソフトウェア
ADC回路
ADC前 ADC後 ADC後
アナログゲイン デジタルゲイン

CMOSセンサ技術が発達したことで、昨今ではセンサ内部(ピクセル毎)にADC回路が組み込まれる傾向にあります。 アナログゲインによる電荷の増幅処理は、ノイズ低減技術が必要です。昔はノイズ低減技術の発展していなかったのでデジタルゲインが好まれました。センサメーカのノイズ低減技術が高い場合は、単純演算増幅であるデジタルゲインよりアナログゲインによる電荷の増幅の方がSN比が向上するので後者の方が好まれる場合があります(センサの設計思想が高速クロック志向など、特殊な場合を除く)。

産業用カメラでUVCカメラとして動作するもの

DFKシリーズ
低消費電力のUSB2.0カメラ、低コストで軽量なUSBケーブルや、USB3Visionの開発環境をそのまま流用可能。
DFKシリーズ
UVCデバイスとして認識。C/CSマウントUSB2.0カメラ。小型で低価格。カメラ三脚標準付属。
DFKシリーズ
UVCデバイスとして認識。USB3.0Vision準拠。フレームバッファ搭載。
最新のPYTHON、Starvis、Pregiusセンサー搭載カメラ。
DFK-Fシリーズ
UVCデバイスとして認識。レンズ交換可能なオートフォーカスカメラ。
フォーカス位置をSDKからコントロール可能。USB2.0とUSB3.0のモデル有。